暇に見えるリーダー
新入社員の時、上司(チームリーダー)に言われたことがある。
「俺は解析作業はやらないと決めてるから。」
当時、そのチームでは半年間で数十件の解析 × 数百ページのドキュメント作成が必要で、チームメンバーが毎日必死で作業していた。
新入社員の自分はまだ考えが浅く、「上司も一緒にやればもっと早く終わるのに。」と思っていた。
面倒な仕事を全て人に振っているように見えていた。
しかし今、少しだけ近い立場になってみるとその大切さがよくわかる。
リーダーは次々と上から降ってくる指示に迅速に対応しなければならない。
リーダーは次々と発生する問題(例えば解析方針や解析が上手くいかないなどのチームメンバーからの報告や相談)に対して、素早く的確に判断して方向性を定めなければいけない。
リーダーは今後の計画について考えたり、新しい情報をどんどん収集して未来を見据えなければいけない。
そのためには、リーダーには自分の手を動かしている時間なんて無い。
リーダーは常に自分の手持ちのタスクをゼロにし、新しいタスクにすぐに取り掛かれるようにしておく必要があるのだ。
それと並行して未来のことを考えるための時間を意識して確保していく必要がある。
上司はそれをわかっていたからこそ、自分は手を動かさないと決めていた。
周りがどれだけ大変だろうと情に流されることなく、自分のやるべき仕事をやっていたのだと思う。
一見暇そうにしていて、時折考え事をしているようなリーダーが、できるリーダーなのかもしれない。
自分を暇な状態にできることが、能力の高さかもしれない。